信号がある交差点での出会いがしらの事故について、A車運転手は、「広い道を直進し、青信号で交差点に入ったところ、B車が赤信号を無視して、(A車)左方向から交差点に進入したため、衝突した」と主張し、B車運転手は、「信号が赤なので止まっており、青信号に変わったので進行を始めたところ、A車が赤信号を無視して、右方向から交差点に進入したため、衝突した」と主張した。
双方とも自己の主張を譲らないため、当事務所がA車運転手の代理人となり裁判になった。
裁判では、
①事故が起きた交差点の見通しはよく、もし、B車運転手の言うように、B車が交差点前で止まっていたのであれば、A車はB車の存在に気付いたはずで、それなのにA車が赤信号で交差点に入るとは考えがたい、
②B車運転手は、自分が交差点を直進する前に、対面方向から来たC車が、B車の前を右折していったと言っているが、そうとすれば、A車運転手はC車が交差点を右折して行ったのを見ているはずで、C車の後ろから、さらに別の車両が交差点に進入してくることが予想されるのだから、そのような状態で、A車が赤信号で交差点に入るとは考えがたい、
③B車は、A車の後方左側に衝突しているが、この状況からはA車が先に交差点に進入したと考えられる。
A車が赤信号を無視してすでに交差点に先に進入しているのに、その後、B車の信号が青になったからと言って、B車が交差点に侵入するというのは考えがたく、B車運転手の主張は信用し難い、という理由から、A車は青信号で交差点に入ったという、A車の主張が認められた。