紛争の内容
依頼者の方は、自動車運転中、信号待ちをしていたところ、後ろから追突される交通事故被害に遭いました。その結果、頸椎捻挫と診断され、病院に通院治療をしていました。しかし、ご本人が保険会社とのやり取りをしていたところ、低廉な賠償額を提示されるなどの対応をされたため、当事務所に依頼をされました。

交渉・調停・訴訟などの経過
通院慰謝料について、保険会社は、赤い本基準という実務上一定の客観的金額の8割の支払を提案してきました。弊所弁護士としては、そのような提案は受け入れられないとして、100%の支払請求をしました。これに対し、保険会社は90%の金額提示をするに至りました。それ以上を要求するのであれば、訴訟をするよう申し向けてきました。もっとも、前述の通り、依頼者の方は、早期解決を望んでおり、訴訟になることはなんとしても避けて欲しいという強い要望がありました。そこで、
実務上一定の客観的金額を下げることの合理的説明ができないこと、そもそも本件は保険会社が依頼者に対し不適切な対応をしたことに端を発して弁護士に依頼するに至ったこと、を強く主張しました。

本事例の結末
本件では、訴訟に移行しなかったにもかかわらず、粘り強い交渉が功を奏して、相手方保険会社は、赤い本基準の98.7%という限りなく100%に近い通院慰謝料金額を提示するに至りました。そして、当該金額を慰謝料として依頼者に支払うことを内容とする和解をすることができました。

本事例に学ぶこと
一般の方が、法律的・実務的知見もないまま、保険会社と交渉をすることは困難です。また、保険会社と交渉すること自体、大きなストレスになります。弁護士に依頼したことで、依頼者の方は直接保険会社との対応をせず、交渉内容も適切な内容となりました。特に、本件は、保険会社担当者が不当に通院慰謝料の支払いを拒んだことが、問題解決を困難にしたという事情がありました。このような場合に、通院慰謝料減額の根拠がなく、そのような不当な支払をすることを認めることはできないと、不適切な保険会社の対応を非難することで、依頼者の方に有利な慰謝料を提示させることができました。

弁護士時田剛志 弁護士平栗丈嗣