紛争の内容
丁字路交差点において、直進していた原付バイクを運転する依頼者と、一時停止を無視して進入してきた自動車を運転する相手方とが交差点で衝突した交通事故でした。
原付バイクはアスファルトに倒され、救急搬送されました。幸いにも、依頼者は捻挫、打撲の症状であり、骨折等はしておりませんでしたが、しばらく痛みを抱えておりました。
事故後、通院を継続している間に、グリーンリーフ法律事務所まで相談にいらっしゃいました。この時点では、後遺障害や損害賠償については未了の段階でした。
弊所について、経験豊富であり、治療中からも、交通事故専門チームの弁護士によるバックアップを受けられるメリットを感じていただき、この段階からご依頼をいただきました。
交渉・調停・訴訟などの経過
治療期間については交渉をし、医師とも情報共有しながら進めました。症状固定しても、痛みは取れず、仕事(手足を使う)に支障が生じておりましたので、まずは神経症状による後遺障害等級を狙い、被害者請求を行いました。しかしながら、3ヵ月程待たされた挙句、結果は、「非該当」でした。しかし、依頼者の場合、膝の症状が悪く、MRIにおいても、半月板損傷が疑われることが確認できたため、主治医Drの協力を得て、意見をもらい、それを基に異議申立てを行いました。その結果、「非該当」という判断が覆り、後遺障害等級14級を勝ち取ることができました。ただし、自賠責は、半月板損傷については事故によるものとは認めませんでした。
① 非該当の認定理由はこちら。いわゆる門切り型の断り文です。
② 次いで、異議申立てを踏まえ、14級9号を認定した認定理由はこちら。
上記の後、後遺障害等級第14級9号を前提として、休業損害、逸失利益、通院慰謝料、後遺障害慰謝料などを請求し、裁判を提起しました。なお、裁判前には、相手保険会社が依頼者の主張を受け入れない面が多くあり、検討の結果、訴訟提起の方が早いと判断しております。
その結果、訴訟では、逸失利益について争われました。というのも、逸失利益は、事故のせいで将来の収入が減額した場合に認められるものですが、依頼者の場合、翌年は減額しておりましたが、その翌年はむしろ当初の年収よりも増額していた事情があったからです。とはいっても、年収が増額したのは、依頼者が特に努力をして収入維持、増額に寄与したからであると主張・立証しました。
結果、裁判所より和解勧告がなされました。慰謝料については、赤い本「別表Ⅰ」と「別表Ⅱ」との間を取るような認定にはなりましたが、裁判基準をベースとすることとなり、逸失利益についても、原告の努力を考慮しつつ、増収している事情は無視できないとして、労働能力喪失率を5%→4%にして計算することとしました。とはいえ、交渉段階における相手保険会社の事前提示額よりも高額な和解案となりました。
なお、過失割合も争点となっておりました。被告側は、35:65と主張しましたが、こちらは0:100を主張し、最終的には、10:90という割合(実は、弊所が受任する前に示談していた割合が10:90でもありました)となりました。
本事例の結末
原告は、裁判所の説明に納得し、和解することを決めました。
その結果、既払金を含め、400万円もの賠償を受けることができました。
本事例に学ぶこと
交通事故は、大きく分けて下記の各段階で検討を深める必要があります。
① 物損の示談
物損の評価額、過失割合がポイントです。
② 治療期間
治療費打ち切り対応がポイントです。
③ 後遺障害申請
見込まれる後遺障害等級とそれに向けた対策がポイントです。
④ 後遺障害認定結果
異議があるかどうか、異議があれば医学的エビデンス等から反論できるかがポイントです。
⑤ 相手任意保険との示談交渉
裁判基準にいかに近づけられるかがポイントです。
紛争処理センターや裁判のそれぞれの長所短所を理解し、手続選択をするのがポイントです。
⑥ 裁判
証拠に基づく合理的主張がポイントです。
裁判例の存在も参考になります。
以上、ご自身で進めるより、弁護士に依頼した方が、ほぼ確実にスムーズかつ有利に進めることが可能でしょう。
お悩みの方は、グリーンリーフ法律事務所にご相談ください。
弁護士 時田剛志