紛争の内容
自動車同士の事故でした。
見通しの悪いカーブの道を走行中、反対車線の自動車が中央線はないものの、センターをオーバーして正面から衝突し、お互いに怪我を負いました。
過失割合について少し揉めそうということで、弊所が依頼を受け、交渉を開始しました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まず、過失割合について協議し、センターオーバーを前提に、100:0で話が付きました。
物損を先に解決し、その後、治療を経て、人損の示談となりました。
治療後、違和感があるということで後遺障害の申請をしましたが、後遺障害の認定は受けられませんでした。
異議申立てという道もありましたが、早期に解決したいという意向から、後遺障害は非該当であることを前提に、損害額を弁護士基準で計算し、示談交渉を進めました。
相手保険会社は、最初から、弁護士基準100%は認めるわけにはいかないというスタンスで交渉に挑みました。
何度か議論しましたが、並行線を辿りました。
そこで、「紛争処理センター」に申し立てることとしました。
すると、こちらから返信を辞め、紛争処理センターへの移行を進めようとした矢先でした。
本事例の結末
「上司と協議した結果、先生のご提案どおりで受け入れます。」
保険会社から連絡があり、こちらが主張していた100万円(主に、休業損害と慰謝料)が認められました。
本事例に学ぶこと
保険会社は様々な事情を考慮して、賠償に挑みます。
被害者側も、保険会社が頑なな場合には、早期解決からは少し遠のきますが、紛争処理センター(大宮にあります。依頼をいただければ、弁護士が進めます。)や裁判という紛争解決機関の利用も覚悟していただきたいと思います。
そうすることで、適正な賠償を得られるからです。
もちろん、素早い解決の利益と適正な賠償の利益を比較考慮し、前者を望むという判断を否定することはありません。
大切なのは、道が分かれた時に、両方の道をとるメリット・デメリット(リスク)を事前に説明し、どちらを選ぶかをお客様に選択していただくということです。結果も大事ですが、そこまでのプロセスも大事です。
弁護士 時田 剛志