紛争の内容
ご相談者の方は、自動車同士の交通事故の被害にあわれました。
相手方に対して、慰謝料などの交渉を求めようとしましたが、相手方は任意保険に加入しておらず、保険会社を窓口として交渉をすることができませんでした。
さらに、相手方は外国人の方であり、うまく日本語が使えず、日本の法律についてもご存じでなかったので、うまく交渉を行うことができませんでした。
こうした中、なんとか慰謝料などの責任追及をするべく当事務所にご相談いただきました。
そこで、最終的には訴訟を視野に入れて、ご依頼をいただきました。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉を行うためには、損害を確定させる必要があります。
ご依頼者の方は、今回の事故で通院されておりましたし、さらに乗っていた自動車も壊れてしまいました。
そこで、お身体のお怪我についての慰謝料、物損についての損害をまとめました。
さらに、ご依頼者の方は、主婦の方でしたので主婦としての休業損害を請求するべく損害をまとめました。
今回、損害をまとめることよりも、それをどう回収するかということが問題となりました。
保険に加入されておりませんでしたので、相手方ご本人に対して直接の請求をせざるを得ませんでした。
当初、こちらからの請求に対して、反応を頂くことができませんでしたが、訴訟を提起することなどを伝えたところ、交渉に対応していただけました。
支払い能力がないとして、請求には応じられないとの主張がされましたが、それであれば分割で支払うよう求めました。
本事例の結末
粘り強く交渉を続けた結果、ご依頼者の方が納得いく金額での分割支払いの約束をすることができました。
しかし、単に和解をしただけでは、仮に相手方が支払いを怠った場合などに強制執行をすることができません。
そこで、万が一の場合に強制執行を行うべく「債務名義」を獲得することを目的として、「訴え提起前の和解」を裁判所に申し立てました。
これにより、和解に債務名義をつけることができ、万が一相手方が分割の支払いを怠った場合、強制執行をすることができるようになりました。
本事例に学ぶこと
交通事故では、現在多くの事件で保険会社を窓口として交渉が行われます。
しかし、相手方が任意保険に加入していない場合、相手方本人を窓口として交渉しなくてはなりません。
こうした場合、相手方がキチンと交渉に応じるかわかりません。訴訟などの法的手段を視野に入れて交渉に臨む必要があります。
今回は、相手方が無保険かつ、外国人という解決が非常に困難な事案でした。
しかし、弁護士を窓口として交渉を行うことで、比較的迅速に解決にこぎつけることができました。
さらに、単に和解をするのみならず、裁判所に対して「訴え提起前の和解」を申し立てることで、万が一の場合、強制執行をすることができるようになりました。
このように万全な解決をするためには、法的な観点からの検討や方法選択が必須です。
相手方が無保険などの場合でも、あきらめずにぜひ一度弁護士へご相談いただけますと幸いです。
弁護士 遠藤 吏恭