紛争の内容
依頼者の女性は自転車に乗っていたところ、自動車にはねられる交通事故に遭いました。
顔面や長袖の服では隠れない場所に大きな傷ができ、入通院を繰り返しながら治療を続けていったところ、順調に回復はしていきました。
その後、慰謝料の請求、後遺障害の申請等どうしたら良いか分からないとのことで弁護士に相談にいらっしゃいまいした。
交渉・調停・訴訟等の経過
まず、何よりも顔面の傷跡が残ってしまったことによる、外貌醜状を内容とする後遺障害申請を行うことにしました。
もっとも、幸いにも治療の成果が奏功し、傷跡はだいぶ小さく目立たなくなっていました。
しかしそのことが原因で、外貌醜状を内容とする後遺障害は認められませんでした。
他方、腕の骨折に伴うボルトを埋め込む手術をし、手術が完了しても、腕の感覚に違和感が残ってしまいました。
そこで、この点についても後遺障害申請をしていたところ、この点は後遺障害が認められるに至りました。
慰謝料の請求にあたっては、保険会社は裁判外ということで、慰謝料金額について基準が定められた赤い本の基準の数十%での示談しか応じません。
そこで、そのような対応を見越して、後遺障害は認められなかったとはいえ女性が顔面に傷跡が残ってしまったことは重大な心理的な損害があったものとして、基準そのものの金額の賠償を求めていきました。
本事例の結末
何度も交渉を重ねて行く結果、保険会社としてはほぼ100%の金額の慰謝料を認めるに至りました。
本事例に学ぶこと
交通事故に遭ってしまった場合、請求できる賠償の中身は多岐にわたります。
本件は、多岐にわたることをうまく考慮して、合わせ技で普通は認められない慰謝料を獲得することができた事例となりました。
弁護士 平栗 丈嗣