紛争の内容
顧問先からの依頼で、幹線道路を走行中の車同士の交通事故(物損)でした。
同一方向を走行中に後ろから追い抜きをした車との事故であり、相手方は、過失割合を50:50と争ってきておりました。
そこで、顧問先である弊所にて交通事故の交渉をお受けしました。
交渉・調停・訴訟等の経過
交渉としては、こちらの方から事故態様を依頼者から調査し、それに基づく過失割合を「別冊判例タイムズ」に基づき、適正な「80:20」を主張しました。
また、ドライブレコーダーの映像が当方にはなく、先方に対して開示を求めました。
一方、物損については、双方の保険会社がアジャスターを入れて調査したうえ、損害額を協定しました。
当方の主張を踏まえ、相手方は、相手保険会社とともに検討したところ、50:50という主張をして争うことを諦めたようでした。
この間、交渉を始めてからわずか2週間程度でした。
本事例の結末
結局、当方の主張が全面的に通り、80:20の割合で示談が成立しました。
支払については、相殺払いの形をとり、賠償金を受け取って終了することになりました。
本事例に学ぶこと
過失割合が認められる場合には、請求額から自分の過失分が差し引かれる(自己又は自身の保険会社負担となる)一方、相手方からは自分の過失分の請求を受けることになります。
例えば、
・自分の損害=100万円・相手の損害=50万円の場合、自分が受け取る賠償額=80万円・自分が支払う賠償額=10万円となります。相殺払いとすれば、自分が相手から70万円を受け取って終わりです。
ただし、例えば相手の損害が大きい場合、
・自分の損害=50万円・相手の損害=100万円の場合、自分が受け取る賠償額=40万円・自分が支払う賠償額=20万円となります。相殺払いとすれば、自分が相手から20万円を受け取って終わりです。
このように、過失は損害賠償を計算する上で大きな意味を持ちます。
それと同時に、損害額の大きさも大きな意味を持ちます。
極端な話ですが、相手の車が高級車で修理費用も大きくなると、過失割合は相手の方が大きかったとしても、損害賠償請求されるのはむしろ自分になるということもありますので、注意が必要です。自賠責保険は物損の保険ではありませんので、任意保険には必ず入っておくことをお勧めします。
そして、任意保険には、必ず弁護士費用補償特約を付けておいてください。
そうすれば、弁護士に依頼をしつつ、弁護士費用をいざという時に負担せずに済む(保険会社が支払ってくれる)場合があるからです。
弁護士 時田 剛志