紛争の内容
高速道路上の交通事故でした。
内容としては、前方の混雑により減速し停車をしようとした相談者の車両に、後方から「ドン」と強い衝撃がありました。
その衝撃で相談者の車両は前に押し出され、前にいた自動車も巻き込んだ、いわゆる玉突き事故でした。
衝突は大きく、車両の修理費は多額となりましたが、幸いにも怪我はされておらず、物損の請求でお悩みでした。
お悩みの内容は、車両時価額よりも修理費用の方が大きかったため、損害額も100万円を超えることが予想されておりましたが、車両時価額について加害者は認めず、「払う」といいながらもいつまでたってもお金を支払わず、挙句の果てには、代理人弁護士を立てて、「債務不存在確認訴訟を起こす」などと言われておりました。
また、玉突き事故であり、追突と同様、過失割合は100:0が原則であるところ、過失云々の主張を開始するなど態度が変わっていく加害者に不安や怒りを募らせておられました。
弁護士「物損でも問題ありませんので、ぜひお任せください。」
弁護士「弁護士費用は特約により支払われるので、お客さまの持ち出し費用はありません。」
裁判も予期されるところ、相談者は自分の任意保険に弁護士特約(弁護士に依頼した場合の弁護士費用を300万円まで保険金から補填できる特約であり、翌年以降の保険料にも影響を及ぼさないもの)が付されていたため、グリーンリーフ法律事務所の弁護士がご依頼を受けました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まずは、加害者の代理人と連絡を取り始めました。
しかし、一人で法律事務所を運営している方のようで、なかなか連絡が繋がりませんでした。
結局、依頼を受ける直前には、加害者を原告とし、依頼者を被告とする「訴状」(債務不存在確認訴訟、つまり「私に債務がないことを確認して」という訴訟のため、原告は加害者になります)が届きましたので、裁判所に委任状を提出し、訴訟対応を進めることとしました。
訴訟では、すぐさま、依頼者の損害を「反訴状」にまとめ上げ、証拠とともに提出し、物損の損害賠償請求を行いました。
訴訟の中では、大きくいって、①車両時価額がいくらか、②過失割合はどうなるか(その前提としてどのような事故態様であったか)、が争点として争われました。
こちらからは、①車両時価額については、実は相談直後から、中古車販売のインターネットサイトをつぶさに確認し、同じ年式・走行距離・カラーなどの車両情報を収集しておりましたので、これらを立証資料としました。加害者側もあとから休めの情報を提出しましたが、カラーが異なったり、そもそも事故日から離れていたり(つまり、とある年式の車の価値は、通常、時の経過で下がります。そのため、とある年式のAというクルマは、例えば1年前の評価と今の評価とで、1年古くなりますので、査定が下がる可能性があります)したため、妥当ではないことを細かく反論しました。
驚いたのは、裁判官が車には詳しくないとのことで、カラーが違うと値段が違うのか?と聞いてきたことでした。
つまり、車好きな人からすれば常識ですが、人気カラーのパールホワイトやブラックと比較して、オレンジやグリーンやブルーなどといったカラーは人気が低く、結果として「欲しい」という人が少なくなり、中古車市場に影響を与えます。このことを証拠として示すことは成功しましたが、常識と思っていることが裁判官と共有できていなければ不利になり得る状況でした。
本事例の結末
結局、裁判官は依頼者側が主張していた内容を概ね採用し、最終的には、145万円を一括で支払ってもらう内容で和解することができました。
実際に、満額が振り込まれ、依頼者は満額を手にすることができました。
本事例に学ぶこと
事故直後の態度と、時間が経過した後の態度は異なることは非常に多いです。
加害者も事故直後は平謝りしていたが、保険会社や弁護士が出てきた途端、強気になり、過失を主張してきたり事故態様を争ってきたりもします。
しかし、それに動じず、やるべきこと(するべき交渉)を冷静に進めることが何よりも重要です。
私たちはサポートを必要とするお客様に対して、最大限の協力をします。
交通事故でお困りの方は、ぜひお気軽にお問合せください。
弁護士 時田 剛志