紛争の内容
依頼者の交通事故被害者(会社員)は、勤務先から現場への移動中、渋滞のため停車していたところ、加害者が追突してきたという事案です。
被害者(依頼者)は、頚椎捻挫、腰椎捻挫で1年以上の通院を余儀なくされ、後遺障害等級も14級が認定されました。
交渉、調停、訴訟などの経過
保険会社は、約1年に亘って休業損害を支払ってきたのですが、交渉段階になって、過剰な休業損害支払があったとして、過剰分を精算すべき(総額の賠償額から既払い額として控除すべき)と主張してきました。
しかし、この被害者の症状や通院状況、後遺障害が認定されていることに加え、保険会社が「休業損害」として当該金額を支払っていたこと等を根拠に、こちら側としては、精算の必要がないことを主張しました。
また、保険会社は、通院慰謝料・後遺障害慰謝料についても、裁判所基準の80%を提案してきたことから、交渉では話し合いはまとまりませんでした。
そのため、速やかに交通事故紛争処理センターに申立てを行いました。
本事例の結末
交通事故紛争処理センターでは、第一回期日で、紛争処理センターの嘱託弁護士による斡旋案が示されました。
斡旋案では、通院慰謝料・後遺症慰謝料・逸失利益については、こちらの主張する裁判基準通りの提案が示されました。
また、休業損害についても、既払い分については過剰な支払いとは認定されず、過剰分を精算すべき(総額の賠償額から既払い額として控除すべき)との保険会社の主張は排斥された提案がなされました。
本件については、被害者も早期解決のためにこの斡旋案で合意することとし、加害者側保険会社も斡旋案を受け入れたことから、交通事故紛争処理センターでの第二回期日で和解が性散るしました。
考察
慰謝料や逸失利益については、弁護士が介入している以上、早期解決の必要から妥協するような場合以外は、いわゆる裁判基準(赤本基準)で解決すべきです。
また、本件のように、保険会社は、いったん支払った休業損害を交渉段階になって減額すべきとの主張をしてくることがあります。
そのような場合にも、諦めず、根拠を示して保険会社の主張を排斥するように主張していくことが必要となります。