紛争の内容
信号機のない交差点を走行中、普通乗用自動車を運転する相手方の進行方向には一時停止の表示がありましたが、相手方はこれを無視して30キロメートルもの速度で交差点に突っ込んできたため、相談者の普通乗用自動車右側に衝突した事故でした。
相談者の自動車は、海外製の頑丈な自動車であったため、相談者は出血するまでの怪我は負いませんでしたが、自動車は経済的全損となるような大きな事故でした。
過失割合について揉める可能性が大きいとのことで、グリーンリーフ法律事務所の弁護士が依頼を受けました。

交渉・調停・訴訟などの経過
まずは、示談交渉から開始しました。
過失割合については、相手保険会社からは80:20という頑固な主張がなされており、こちらは、90:10であると反論をしておりました。別冊判例タイムズという様々な事故態様から過失を整理した書籍によれば、たしかに、本件と同じ交差点での事故では、基本過失割合が80:20となっておりました。しかし、本件の相手方は、警察での事情聴取において、カーナビの操作に気を取られて前を注視していなかった旨を述べておりました。そのため、こちらは検察から取り寄せた刑事記録に基づき、過失割合の修正要素である「著しい過失」を強く主張しました。
交渉ではお互い譲らず埒が明かなかったため、裁判よりも時間を短縮し得る、紛争処理処理センターでの斡旋を受けることになりました。
なお、争点としては、依頼者が丁度、第一回のコロナによる緊急事態が発効した時期に通院時期が被り、通院を躊躇していたため、相手保険会社に治療を打ち切られていたという経緯がありました。その後数回ですが相談者は通院している状況もあったため、症状固定時期も併せて争点となりました。

本事例の結末
紛争処理センターでは、委嘱を受けた弁護士が斡旋を担当します。
今回は、電話での会議を中心に、委嘱を受けた弁護士に丁寧に説明を行い、結果として、相手保険会社が治療を打ち切った後の一か月分の慰謝料算定が認められたほか、過失割合についても、こちらの主張を受け入れ、修正要素を適用して、90:10が相当という判断がなされました。
相手保険会社も承諾したため、斡旋が成立しました。

本事例に学ぶこと
交渉と裁判のいわば中間に位置する制度として、交通事故紛争処理センターという団体があります。
この機関は、当事者間で話がつかない場合に第三者的な立場からあっせんをしていただけるというメリット、担当するのが実務に精通した弁護士のため主張を理解してもらいやすいというメリット、基本的に三~四回程度の期日で終わるため裁判と比べて大幅に時間が短いというメリット、手数料がかからないというメリットがあり、弁護士としても積極的に利用を検討しております。
相手保険会社との話し合いが平行線になった場合には、裁判よりも簡易な制度として利用することを検討するとよいです。
交通事故に詳しい弁護士をお探しの方は、ぜひグリーンリーフ法律事務所までご相談ください。
紛争処理センターの利用についても、原則として、弁護士費用補償特約を利用して弁護士が進めることができますので、ご安心ください。

弁護士 時田 剛志