近年、自転車と自動車間の交通事故が増えています。
平成28年中の自転車が第1当事者又は第2当事者となった交通事故(自転車関連事故)件数は、90,836件(前年比-7,864件、-8.0%)で、交通事故全体に占める割合は約2割(構成率18.2%)となっているそうです。
また、自転車関連事故を事故類型別でみると、出会い頭衝突が半数以上(同51.8%)を占めており、相手当事者別でみると、対自動車との事故が76,961件(同84.7%)と最も多くなっています。
自転車と自動車間の交通事故は、双方が走行しているケースが多いので、過失割合が問題となることが多いのですが、一定の事故パターンについては判例の蓄積があるので、その判例が参考とされます。
過失割合については、別の機会に、詳しくお話をしたいと思います。
さて、自転車については、交通ルールについて結構知られていない・守られていない場合が多く、国や地方公共団体でも、「自転車安全利用五則」として、周知を図っています。
自転車側が交通ルール違反をした場合は、過失が大きいとして、保険金が出る場合でも、大きく相殺されてしまう可能性があります。そこで、「自転車安全利用五則」をご紹介します。
1.自転車は、車道が原則、歩道は例外
2.車道は左側を通行
3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4.安全ルールを守る
●飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
●夜間はライトを点灯
●交差点での信号遵守と一時停止・安全確認
5.子どもはヘルメットを着用
-自転車の通行方法等に関する主なルール -
通行場所・方法 について
◆車道通行の原則
道路交通法上、自転車は軽車両と位置付けられ、歩道と車道の区別があるところでは車道を通行するのが原則であり、車道の左側(車両通行帯のない道路では左側端)を通行しなければならない。
著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、路側帯を通行することができるが、その場合は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行しなければならない。
【該当規定】道路交通法第17条第1項及び第4項、第18条第1項/第17条の2
【罰則】3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金/2万円以下の罰金又は科料
◆歩道における通行方法
自転車が歩道を通行する場合は、車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければならない。
【該当規定】道路交通法第63条の4第2項
【罰則】2万円以下の罰金又は科料
◆交差点での通行
信号機のある交差点では、信号機の信号に従わなければならない。
「歩行者・自転車専用」と表示されている信号機のある場合は、その信号機の信号に従う。
【該当規定】道路交通法第7条
【罰則】3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
信号機のない交差点で、一時停止すべきことを示す標識等がある場合は、一時停止しなければならない。また、狭い道から広い道に出るときは、徐行しなければならない。
【該当規定】道路交通法第43条、第36条第3項
【罰則】3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
◆横断
道路や交差点又はその付近に自転車横断帯がある場合は、自転車横断帯を通行しなければならない。
【該当規定】道路交通法第63条の6,第63条の7第1項
◆自転車道の通行
自転車道が設けられている道路では、やむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
【該当規定】道路交通法第63条の3
【罰則】2万円以下の罰金又は科料
自転車の乗り方
◆安全運転の義務
道路及び交通等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
【該当規定】道路交通法第70条
【罰則】3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
◆夜間、前照灯及び尾灯の点灯夜間
自転車で道路を走るときは、前照灯及び尾灯(又は反射器材)をつけなければならない。
【該当規定】道路交通法第52条第1項、第63条の9第2項、道路交通法施行令第18条 第1項第5号
【罰則】5万円以下の罰金
◆酒気帯び運転の禁止
酒気を帯びて自転車を運転してはならない。
【該当規定】道路交通法第65条第1項
【罰則】3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(酒に酔った状態で運転した場合)
◆二人乗りの禁止
自転車の二人乗りは、各都道府県公安委員会規則に基づき、6歳未満の子供を乗せるなどの場合を除き、原則として禁止されている。
【該当規定】道路交通法第55条第1項/第57条第2項
【罰則】5万円以下の罰金/2万円以下の罰金又は科料
◆並進の禁止
「並進可」の標識があるところ以外では、並んで走ってはならない。
【該当規定】道路交通法第19条
【罰則】2万円以下の罰金又は科料