ワルテンベルグ反射(Wartenberg)とは
ワルテンベルグ反射(Wartenberg反射)とは、「病的反射」のひとつです。
「病的反射」は、生理的な脊髄の反射路に異常が起きたり,破壊があると,生理的に起るはずのない反射が生じるので、これらを総称して病的反射と言っています。ワルテンベルク反射は上肢の錐体路徴候を診る方法のひとつで、これが陽性の場合には、主として錐体路障害が疑われます。
ワルテンベルグ反射は、患者の第2指と第3指を、患者の第2~5指の中節骨上に置いて指をハンマーで叩き、患者の母指が内転屈曲すれば陽性と判定します。
特に変化がなければ陰性、すなわち正常と判断します。
交通事故との関係
裁判例の傾向を見ると、頚椎神経症、頚部痛、神経痛、しびれ等の立証に、ジャクソンテスト、スパーリングテスト、ホフマン反射、トレムナー反射テスト等と一緒に使われることがありますが、ワルテンベルグ反射が陽性だったというだけでは、客観的に立証できたとは言い難いです。
立証は、各テストを重複して行うのが通常です。
例えば、このような主張になります。
「他覚的所見として、頸椎レントゲン検査の結果、第5ないし第7頸椎に骨棘骨症様変化、第4・第5頸椎間にずれ、第6・第7頸椎間椎間板狭小化が認められ、また、上肢腱反射低下、トレムナー症状、頸部モーレイテスト、エデン氏テスト、ライトテスト、ワルテンベルグ、水野氏テスト及びスパーリングテストの結果が各陽性であることを考慮すると、頸椎の右変性により神経根が圧迫されているため、右症状が生じているものと推認される。」 |
裁判例では、複数のテストが陽性であることを認定し、「以上の事実によれば本件事故後の原告の症状は・・・因果関係があると認めるのが相当である」というような形で認定します。
逆に、認定できない場合の理由付けとして使われることもあります。
「ジャクソンテスト・スパーリングテストはいずれも両側とも陰性、ホフマン徴候・トレムナー徴候・ワルテンベルク徴候はいずれも陰性であり・・・原告に前記認定の後遺障害等級を超える本件事故と相当因果関係のある後遺障害が生じたことを認めるに足りる証拠はない。」 |
いずれにせよ、ワルテンベルグ反射だけでは病状の立証は困難ですので、複数の神経学的所見を得られるように、複数のテストを医師にしてもらうことが重要です。
どのような神経学的検査テストがあるか
どのような神経学的テストがあるのか、裁判の事実認定の中で引用されたものがあるのでご紹介します。以下は、裁判例で認められたテスト内容となります。
神経学的検査に用いられる検査(テスト)について
➀スパーリングテスト及びジャクソンテスト
スパーリングテストとは,頭部を患側に傾斜・後屈して圧迫することにより,上肢に疼痛,しびれ感を誘発させる方法をいう。
ジャクソンテストとは,頚椎を過伸展させ頭頂部から圧迫する,あるいは,頭部を健側に傾斜して反対側の肩を下方に圧迫することにより,上肢に疼痛,しびれ感を誘発させる方法をいう。
いずれも神経根症状誘発テストである。なお,ラセーグ(下肢伸展挙上テスト)も同様に神経根症状誘発テストである。
➁徒手筋力テスト(以下「MMT」という)
MMTとは,被験者の筋力を,0から5までの6段階で評価するものである。最も高い評価である5の評価は,「強い抵抗下で重力に抗して可動域内を完全に動かせる」,4の評価は,「かなりの抵抗下で重力に抗して可動域内を完全に動かせる」というものであり,最も低い評価である0の評価は,「筋肉の収縮なし」というものである。
③反射テスト(病的反射を確認する検査である。)
(ア) バビンスキー反射とは,足底部をこすり上げることによって惹起される,母趾の背屈反射をいう。これによって母趾の背屈反射があれば,陽性と判定され,被験者に錐体路障害があることを示すとされる。
(イ) クローヌスとは,筋を受動的に急激に伸展させた際に,律動的な筋収縮を繰り返す現象をいい,被験者に錐体路障害があることを示すものである。対象となる部位によって,足クローヌス(下腿三頭筋)と膝クローヌス(大腿四頭筋)とがある。
(ウ) ホフマン反射とは,中指の爪を上から下にはじくことによって惹起される,母指の屈曲反射をいう。これによって母指の屈曲反射があれば,陽性と判定される。母指の屈曲反射は,上肢腱反射が亢進した状態で観察される。健常人でも出現することがある。
(エ) トレムナー反射とは,中指の爪を下から上にはじくことによって惹起される,母指の屈曲反射をいう。これによって母指の屈曲反射があれば,陽性と判定される。母指の屈曲反射は,上肢腱反射が亢進した状態で観察される。健常人でも出現することがある。
(オ) ワルテンベルグ反射とは,手指掌側をハンマーで叩くことによって惹起される,手指の屈曲反射をいう。これによって手指の屈曲反射があれば,陽性と判定される。手指の屈曲反射は,上肢腱反射が亢進した状態で観察される。健常人でも出現することがある。
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