紛争の内容
依頼者の方は、交差点内における直進車と右折車の衝突事故により、頬の骨を骨折する重傷を負いました。
相手方が速度を落とさずに交差点内に進入したため、顔面を車内で強打してしまったことが原因でした。

入院、手術の後、約半年間の通院を経て、症状固定に至りました。
もっとも、症状固定に至った後も、顔面に常時性のしびれや引き攣れ感が残ってしまいました。

このあとは、後遺障害等級の申請や保険会社との示談交渉をおこなうことになりますが、依頼者の方は高齢であり、保険会社とのやり取り自体が負担となっていました。
また、依頼者のご家族が契約している任意保険には、弁護士費用特約が付帯してありましたので、弁護士費用の自己負担なしでご依頼いただくことが可能でした。

そこで、法律相談を実施したうえで、ご依頼いただくことになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
前記のとおり、症状固定に至った後も、顔面に常時性のしびれ等が残存していたため、後遺障害等級認定の申請をおこないました。
その結果、後遺障害等級14級9号が認定されました。

この後遺障害の認定を前提に、保険会社との賠償交渉を行いました。

ところが、依頼者の方は高齢であったことを理由に、休業損害(主婦休損)や逸失利益といった項目で、金額に大きな開きがありました。

そのため、本件では話し合いによる解決は困難と判断し、交通事故紛争処理センターへあっせんの申立てを行いました。

数回に渡るあっせん期日において、こちらからは、依頼者の陳述書を含む、可能な限りの資料を提出しました。
あっせん委員からは、それらの資料に基づいて、あっせん案が提示されました。

しかしながら、そのあっせん案も保険会社側は拒否しました。
そのため、本件は、交通事故紛争処理センターの新宿本部において、審査会がおこなわれることになりました。

本事例の結末
審査会の裁定においても、あっせん案とおおよそ同額の金額が提示されました。
依頼者の方の意向を確認したうえで、裁定を受諾し、示談が成立しました。

※ あっせんの申立人側が裁定に同意した場合には、保険会社は、審査会の裁定を尊重することになっているため、和解が成立することになります。

本事例に学ぶこと
本件では、休業損害や逸失利益の点で保険会社との対立が激しく、審査会の裁定までおこなわれましたが、最終的には無事に解決に至りました。

弁護士 野田 泰彦 
弁護士 赤木 誠治