医師や弁護士へのむちうちの症状の伝え方が重要な理由とは?

医師や弁護士へのむちうちの症状の伝え方を解説します

追突事故で起りやすい「むちうち」(むち打ち)症。頸椎捻挫とも呼ばれます。
交通事故により起るむちうちの症状は、様々なものがあります。

例えば、以下のような症状でお悩みではないでしょうか。

・痺れ(特に首回り・頭部・頸椎・腕)
・痛み(特に首回り・頭部・頸椎・腕)
・軽度の麻痺(首回り・頭部・腕・指先)
・凝り(首・肩・背中)
・耳鳴り
・めまい、目のかすみ、眼精疲労
・疲労感、倦怠感、やる気がでない
・吐き気

すべての症状を正確に医師に伝えるのは難しいと思います。

しかし、自分に起きているむちうちの症状を医師や弁護士に正確に伝えられなければ、医師の分野では正しい治療を受けられませんし、弁護士の分野では、後遺障害の申請が難しくなることがあります。
弁護士目線で言いますと、治療の長さ(打ち切りに関わります)や後遺障害等級の取得のためには、症状を具体的に、正確に述べていただければと考えます。

法律相談を受けて、最もよく見かける症状は、首の痛み、肩こり、上肢のしびれ・痛み、頭痛等です。

本記事では、医師や弁護士へのむちうちの症状の伝え方が重要な理由と、伝え方について解説をしていきます。

理由① 打ち切りにあわないために正確な伝え方が重要

むちうち症は、レントゲンやMRI等の画像診断では客観的に立証できないことがほとんどです。したがって、医師が診断するときには、患者の愁訴(患者の自覚的訴えのこと)に頼らざるを得ません。

そのため、患者が言わないことは、診断書に書かれないし、カルテにも記載されません。

例えば、首と肩が痛いとしましょう。

医師「どこが痛いですが」

患者「どちらかと言えば、肩が痛いです」

という場合に起こり得ること・・・

カルテの記載は、以下のようになる可能性があります。

「○月○日 肩が痛い」

首と肩を同時に治療しているときに、先に肩が治ったとしましょう。そのタイミングで保険会社から、「体調はどうですか」と問い合わせが入ったとき、「まだ首が痛いです」と述べても、「いや、○月○日のカルテには、肩が痛いとしか書いてませんよね?首はとっくに治っているのでは?」と言われ、治療費の立て替え払いを打ち切られる可能性があります。

一例ですが、似たようなことが現実に起きています。保険会社との話だけではなく、裁判になっても、このような細かい指摘をされることがあります。

首と肩が痛いのであれば、はっきりと、「まだ首と肩が痛いです。症状は、・・・な感じです」

このように、伝えることが重要なのです。

言わないことは、無かったことになるとも言えます。

保険会社に、治療品の早期打ち切りをさせないためにも、現在の状態はしっかりと医師に伝えて、診断書やカルテに記載するようにすることが重要です。

理由② 症状固定時期に関わるので重要

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上と述べたことと同じ事ですが、「症状固定」の時期にも関わります。

症状固定とは、これ以上治療しても、改善が見えない時期のことを言います。

症状固定と判断されたら、治療は終了になります。この症状固定は、医師の判断が尊重されますが、やはり、患者の愁訴も重要ですので、症状固定時期を不当に早められないように、注意しなければなりません。

理由③ 休業損害に関わるので重要

理由③ 休業損害に関わるので重要

これも同じような理由ですが、痛み等の症状で、会社を休業することがあると思います。
主婦の方であれば、家事ができない、休み休みやっているということがあります。
しかし、症状がきちんと伝わっていないと、「休む必要ありますか?」と、保険会社に言われ、休業損害が認めてもらえないということが起きます。

理由④ 後遺障害等級の認定にとって重要

理由④ 後遺障害等級の認定にとって重要

むちうちの治療を一定期間きちんと受けても、症状が残ってしまう方がいます。つまり、症状固定後に残った症状が、後遺障害にあたるかどうかが問題となります。

この場合に、自賠責保険に後遺障害等級の申請をして、認定をもらえる可能性があります。

自賠責保険は基本的には書類審査です。医師の作成する後遺障害診断書が重要ですし、カルテ等の調査もします。
つまり、さんざん出てきたように、「伝えていないことは無かったことになる」ので、患者の本当に感じている症状が、後遺障害診断書に反映されないのです。

よって、適切な後遺障害等級が受けられない可能性がでてきます。

ちなみに、むちうちで最も多い等級は、14級9号です。

保険金の金額でいうと、これだけで、後遺障害慰謝料が110万円になり(赤本基準の場合)ます。

むちうち症状を伝えるポイントとは

むちうち症状を伝えるポイントとは

伝え方のポイントは、主に以下の点です。

①いつから症状があるのか
例)事故の翌日から痛みがでてきました

②どこに症状があるのか
例)首の付け根が痛いです。右肩が全体的にいたいです。

どこになんの症状があるかをまず医師に伝えないと適切な治療が受けられません。骨折やひび、他のケガの可能性もありますので、「どこ」は非常に重要です。

③どのような症状なのか
例)
・首が、40度くらいしか右に向けられません。
・右手の小指がしびれています。
・日中、めまいがします。

★ダメな例
「雨の日は痛みます」

なぜダメかと言うと、「雨の日は」ということは、「雨の日以外は痛まない」と解釈できるからです。つまり、それほど症状が軽いととらえられます。
もちろん、それが真実であれば問題ないのですが、表現だけで誤解をされて不利益を被らないようにしましょう。

むち打ち症状を医師や弁護士に上手に伝える際のポイントとは

むち打ち症状を医師や弁護士に上手に伝える際のポイントとは

1.症状を記載したメモを活用しましょう。

ご存じのとおり、医師の診察でしゃべれる時間は限られています。迷っていると、忙しい医師からは、そうそうに診療を終えられることがあるようです。
弁護士であれば、一般的には、30分や60分など、じっくりと話を聞くことができますが。

また、医師の前で緊張してうまく伝えられない方が多いようです。
そこで、しゃべりたいこと、伝えたいことは、事前にメモを書いて、それを元に説明しましょう。

メモを医師に渡しても良いと思います。

弁護士目線では、相談者様に、そういったメモをいただくと、聞き取り時間が短縮できて、非常に有意義な相談時間となることが多いです。

2.嘘をついたり、誇張した症状を伝えるのはやめましょう。

医師も弁護士も、常に人と会っていますし、同じような症状の方と接しているので、嘘や大げさな言い方は、ある程度わかってしまうことがあります。
その場合は、信用ができないという判断になり、医師の場合は適切に後遺障害診断書を書いてくれないということが想定されます。
弁護士の場合は、委任契約の締結を断られるということが想定できます。

まとめ

まとめ

以上のとおり、むちうちで医師や弁護士に伝えるべき事とポイントを解説しました。

ポイントだけおさらいしますと、

・症状を具体的に伝える→メモを活用
・嘘はつかない、大げさにいわない
・誤解される表現はしない
・いわなかったことは、「無かったこと」になる可能性がある

グリーンリーフ法律事務所では、交通事故集中チームが、皆様をサポートします。
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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 申 景秀
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