過失割合とは

野田弁護士

交通事故の損害賠償額に大きく影響するのが過失割合です。

交通事故の過失割合とは、発生した交通事故に対する双方の責任(不注意や過失の事)の割合のことです。
「100対0」とか、「50対50」というように現わします。50対50の場合は、責任は半分ずつという事になります。
通常は、当事者が契約している保険会社の担当者同士が話合い、過失割合を決定します。弁護士が入っている場合は、相手の保険会社の担当者と話し合いをします。

その話合いの基準となるのは、過去の裁判例です。実際の交通事故と類似した過去の裁判例を基準として、話合いが進みます。

別冊判例タイムズ38 という本にあらゆる形態の事故の過失がまとめられています。

また、過失割合は、ドレイブレコーダーや、警察の実況見分調書などが参考になります。

通常、基本的には、保険会社が過失割合を判断して、それを元に、被害者に保険金額を提示してきます。
過失があれば、その分を損害から引かれてしまいます。

これを「過失相殺」と呼びます。
過失相殺とは過失割合に応じて賠償金を減額することを言うのです。

過失割合の具体例

過失相殺の仕組みを具体的に言うと、例えば、交通事故が発生して、Aさんが2,000万円の損害、Bさんが1,000万円の損害で、過失割合が、Aさん:Bさん=20%:80%だとしますと、Aさんの損害2,000万円について、Bさんは1,600万円(2,000万円×0.8)を支払うことになり、Bさんの損害1,000万円につき、Aさんは200万円(1,000万円×0.2)を支払うことになります。この場合、これらを相殺して、結局、Aさんが1,400万円を受け取ることになります。

問題は、この過失割合を決めているのは警察だと思われている方も多いのですが、実際には保険会社が決めている、という点です。

被害者にとっては、過失割合によって、損害賠償の金額は大きく変わりますから、保険会社の言いなりに、過失割合を認める必要はありません。しかし、一方で、過失割合の議論は、一方的にこちらの考えを主張するだけでは認められません。
しかるべき証拠にもとづいて、説明する必要があります。この点は、被害者が自分で行うには難しい面があろうかと思います。納得がいかない場合は、弁護士に相談されることをお薦めします。弁護士はあなたの主張を裏付ける証拠を収集し、保険会社と交渉し、また、裁判で主張します。

ドライブレコーダー等の客観的証拠があれば、正当な過失割合で認定される確率があがるでしょう。

事故のパターン別過失割合

自動車と自動車、自動車と人、自動車と自転車、自転車と人、バイクと車など・・・
様々な事故態様があります。
過失については、「ある程度」決まったパターンが過去の裁判例で決まっているのです。
随時、掲載を追加していますので、それは、
こちらで詳しく解説しています。

是非ご覧ください。

素因減額

過失相殺と似た概念ですが、「素因減額」という問題があります。
「素因減額」とは、交通事故の被害者について、「心因的要因」と「身体的要因」があり、通常よりも損害の拡大や発生がに影響しているような場合に、それらの被害者の要因(素因)を考慮して、損害賠償額から減額する制度のことをいいます。
減額される割合はケースによって様々で、これがあるから何割減額するとは、すぐに言えない難しさがあります。

詳しくはこちらをご覧ください。