紛争の内容
ご依頼者様は、ご夫婦でのドライブ中、渋滞に追いついたため停車したところ、後ろからノーブレーキの自動車に衝突されてしまいました。
幸い骨折などの大怪我には至らなかったものの、車両に大きな破損が生じた他、ご夫婦ともに強い衝撃を受けたためむち打ち症になってしまい、結果的に6か月間強の通院治療が必要となりました。
ご依頼者様は、事故の約1ヶ月あとに弊所にご相談にいらっしゃいました。この時点ではお身体の方はまだ治療中でしたが、先行して物損部分について相手方保険会社から損害賠償額の示談提示があり、その際の説明に不信感を覚えて、弁護士に相談・依頼することをお考えになったとのことでした。
物損部分の損害賠償額については、もう少し増額の余地があるような状況でした。
それに加え、事故から間もなくお身体が辛い状況で相手方保険会社と交渉することは、大変なご負担になると思われ、そういった観点からも、弁護士を依頼して交渉を任せるということがお勧めできるケースでした。
交渉・調停・訴訟などの経過
物損部分については、受任後速やかに弁護士が交渉を開始しました。
特に、事故による車両価値の低下(評価損)について、新車購入から時間があまり経っていないことや、走行距離が少ないこと、損傷が激しいこと等を主張し、保険会社も評価損を認めました。
結果、ご依頼前よりも損害賠償額を上げた内容で、示談に至ることができました。
一方、人損部分については、残念ながら半年強の通院を経ても、ご依頼者様のお身体には痛み・しびれなどの症状が後遺症として残ってしまいました。そのため、後遺障害申請を行い、それぞれ14級9号の認定を得ることができました。
この認定をもとに、相手方保険会社と損害賠償額の交渉を行いましたが、保険会社からの返答は、慰謝料を8~9割に減額し、奥様の休業損害(主婦休損)も相当程度減額するというものでした。
そこで、交通事故紛争処理センターに斡旋を申立てました。
本事例の結末
紛争処理センターの嘱託弁護士に対して適切な主張を行い、慰謝料については請求額の満額、奥様の休業損害についても保険会社の提示から大きく引き上げた和解案が提示され、ご依頼者様と協議した結果、これを受諾することになりました。
本事例に学ぶこと
加害者側の保険会社は、示談の際に、訴訟ではなく交渉であることを理由にして、慰謝料などを減額して提案してくることがほとんどです。
しかしながら、弊所では、事案に応じて斡旋申立てや訴訟提起を行い、本件のように慰謝料を満額とする決着を得ることも多くあります。
適切な解決に至るよう尽力いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
弁護士 木村 綾菜