マレットフィンガー(マレット指)と後遺障害の関係について交通事故を扱う法律事務所が解説します。
マレット指(マレット変形)とはなにか
マレット指とは、指の一番先にあるDIP関節(指の第1関節のこと)が曲がったまま伸ばせなくなった状態の指をいいます。
交通事故ですと、バイクや自転車で転んだときに骨折や伸筋腱断裂が起こり、マレット指になってしまったという相談が多いです。
公益財団法人日本整形外科学会では以下のように説明されています。
指の第1関節が木槌のように曲がった状態になるので、マレット変形と呼ばれます。マレット変形のなかには、伸ばすスジ(腱)である伸筋腱が伸びたために生じるものと第1関節内の骨折が生じて起こるものがあります |
2つのタイプがあります。
1つは指を伸ばす伸筋腱が切れたために生じるもので、腱性マレット指(腱性マレットフィンガー)と言います。 もう1つは、第1関節の関節内の骨折が生じ、伸筋腱がついている骨が関節内骨折を起こしてずれた状態になったもので、骨性マレット指(骨性マレットフィンガー)と呼びます。 |
医師によって呼び方が違いますが、診断書には、マレット変形とかマレットフィンガーとか、マレット指と記載されていると思います。
マレット指と後遺障害の関係
マレット指と診断され、変形が残った場合は、後遺障害に該当する可能性があります。
可能性があるとすると、
後遺障害等級14級7号
「片手の親指以外の指の遠位指節間関節(DIP)を屈伸することができなくなったもの」 |
これが該当します。
具体的に「遠位指節間関節を屈伸することができないもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。
➀遠位指節間関節(DIP)が強直したもの=可動角度10°以下
または、
➁屈伸筋の損傷等原因が明らかなものであって、自動で屈伸ができないものまたはこれに近い状態にあるもの
指の屈曲(DIP)は参考可動域として80°あるとされていて、10°以下というのはなかなか厳しい要件であると思います。
これに当てはまる方はなかなか数としては少ないとは思いますが、当たらないからといってあきらめてはいけません。
もし痛みがある場合は、神経症状があるということで、14級9号を狙いにいける可能性があります。
これはレントゲンや手術経過、通院記録、カルテ等から痛みを推測させるような作業が必要です。また、そもそも後遺障害診断書に「痛み」があることが記載されていないと、認定は厳しくなると思われます。
マレット変形の後遺障害が残った方は、後遺障害診断書を作成するまえに弁護士にご相談ください。
後遺障害に該当した場合の損害額について
1.通院慰謝料
まずは通院慰謝料です。自賠責基準や弁護士基準の違いはこちらをご覧ください。
2.後遺障害慰謝料
自賠責基準だと32万円です。
弁護士基準だと、110万円です。
おそらく保険会社は、50万円くらいで提示してくると思われます。弁護士基準とはかなりの金額の差があります。うまく増額できれば、この差額分保険金が増えるということになります。
3.逸失利益
マレット変形で14級の等級が認められた場合は、逸失利益も請求できます。
将来得られるはずだったが、後遺障害のために得られなくなってしまった収入のことを「後遺障害逸失利益」といいます。
逸失利益は、基本的には1年あたりの基礎収入に、後遺障害によって労働能力を失ってしまうことになってしまうであろう期間(労働能力喪失期間。)と、労働能力喪失率(後遺障害によって労働能力が減った分)を乗じて算定することになります。
ただし、将来もらえる金額を、一括してもらう事になるので、「中間利息」というものを控除する事になります。
中間利息の控除は、一般的にはライプニッツ式という方式で計算されます。
まとめると、後遺障害事故における逸失利益は以下の計算式によって算定されます。
後遺障害逸失利益
= 1年あたりの基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
- 基礎収入⇒ 事故にあった方の事故時の収入です。
- 労働能力喪失率⇒ 後遺障害によりどの程度労働ができなくなるかの率です。表により大体定型化されています。
- 労働能力喪失期間⇒ 症状固定の日から67歳までとされています。
- ライプニッツ係数⇒ ほぼ定型化されているので、表を見れば分かります。
【無料ライン(LINE)相談・予約実施中】
弁護士にラインで無料相談(5往復程度)できます。予約もラインからできます。
●以下のボタンから友達追加をしてください
●ID検索の場合はIDを検索して友達追加をしてください
LINE ID:【@ggu7197l】(最後の文字は小文字のエル)
グリーンリーフ法律事務所は、埼玉県さいたま市大宮区で30年以上の実績、交通事故に力を入れている法律事務所です。お気軽にご相談ください。
★交通事故の流れを漫画でわかりやすく解説中です。
詳しくは下記の画像をクリックしてマンガページをご覧ください
|
後遺障害の部位別詳細コンテンツ一覧
治療しても完治せず「症状固定」(治療してもこれ以上は状態が変わらない段階)で体に不具合が残ることを後遺障害(後遺症)といいます。下記は後遺障害の部位別詳細コンテンツ一覧です。
※後遺障害(後遺症)についての詳細はこちらを御覧ください。
腕・肩・肘・手・手指の後遺障害
→腕神経叢損傷について
→マレット変形について
→交通事故で手首を骨折した場合の後遺障害や慰謝料など
股・膝・足・足指の後遺障害
→交通事故で足関節に後遺障害(可動域制限)が残ったらどうするか?
→交通事故で足首を骨折してしまったときの後遺障害や慰謝料について