紛争の内容
依頼者の方は、自動車運転中、信号待ちをしていたところ、後ろから追突される交通事故被害に遭いました。その結果、頸椎捻挫と診断され、病院に通院治療をしていました。今後の事故対応について当事務所に依頼をされました。

交渉・調停・訴訟などの経過
相手方保険会社は、事故内容からするとそれ程の怪我ではないとして、しきりに治療打ち切りを促してきました。もっとも、依頼者は痛みを訴えていたため、通院治療が必要でした。そこで、依頼者の方のヒアリングを行い、どのような症状に悩まされているのか、いかに生活に支障が出ているか、通院の頻度・治療内容を丁寧に聞き取り、その都度保険会社担当者に報告していきました。そして、保険会社の見解はどうあれ、依頼者は痛みを感じて、やむなく病院に通院していること、病院での治療内容・通院頻度を粘り強く説明し、早期の治療打ち切りなど到底承服できないと、強く交渉を続けていきました。交渉の甲斐があって、依頼者は通院を継続することができました。このような依頼者とのやり取り・相手方保険会社担当者との交渉を毎月毎月引き続いて行っていきました。
依頼者の方は、痛みを感じながらも、保険会社に治療終了をしきりに促されながら、2,3日に一回、継続して通院治療をする生活を送ること自体に苦痛を感じ、一定のところで通院治療を完了することになりました。そこで、通院日数が確定したところで、相手方保険会社との間で通院慰謝料の交渉を行っていきました。
交通事故の慰謝料については、実務上一定の客観的金額が定められています。ところが、保険会社は、当該金額を大幅に下回る金額を提示してきました。そこで、本件で、依頼者が通院を終了したのは、保険会社の催促にも起因することを主張し、客観的金額を下回ることは承服できない、下回るにしてもわずかな割合だけであると、強く主張し続けていきました。

本事例の結末
本件では、相手方保険会社は、自賠責基準を基に慰謝料金額を提示してきました。当事務所での交渉の結果、最終的には、当初提示額の2倍に加え、さらに調整した金額を上乗せした金額を通院慰謝料として受領することを条件に、和解するに至りました。

本事例に学ぶこと
一般の方が、法律的・実務的知見もないまま、保険会社と交渉をすることは困難です。また、保険会社と交渉すること自体、大きなストレスになります。弁護士に依頼したことで、依頼者の方は直接保険会社との対応をせず、交渉内容も適切な内容となりました。特に、本件は、保険会社担当者がしつこく治療打ち切りをすすめようとしたことが、問題解決を困難にしたという事情がありました。このような場合に、治療継続をさせるよう抗議するだけでなく、さらに慰謝料金額の交渉にあたっても、不適切な保険会社の対応を非難することで、依頼者の方に有利な慰謝料を提示させることができました。

弁護士 申景秀 弁護士 平栗丈嗣