物損に関する慰謝料

物損で慰謝料が認められるか

交通事故ので人身事故にあった場合、被害者は、交通事故によって被った精神的損害として、慰謝料を請求できます。
それでは、交通事故で大切な車や物が傷つけられてしまった場合、物に対する慰謝料は認められるでしょうか。

結論としては、「原則として認められない。」ということになります。

●参考裁判例(東京地裁平成元年3月24日)

「財産的権利を侵害された場合に慰謝料を請求し得るには、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が存することが必要である」

判例でも、認められるのは、ごく例外的な場合に限られています。

物損事故で慰謝料が認められた裁判例

●大阪地裁平成元年4月14日

居酒屋兼店舗住宅に自動車が突入した事案で、「人命に関する危険があり、家庭の平穏が害された」として、慰謝料30万円がみとめられた。

●岡山地裁平成8年9月19日

深夜に大型トラックが民家に突入した事案。慰謝料50万円を認めた。

●大阪地裁平成15年7月30日

加害自動車が被害者の自宅に突入し、被害者宅の玄関が損壊したという事案。
被害者宅の玄関が、年末年始を含む1か月以上にわたって表玄関にベニヤ板を打ち付けた状態で過ごさざるを得なくなった事から、慰謝料として20万円を認めた。

●京都地裁平成15年2月28日

加害者は、飲酒運転により駐車していた被害車両に衝突し、当て逃げをした事案。
被害者は、現場付近を捜索して、数百メートル離れたところで加害者を発見した等の事情から、慰謝料10万円を認めた。